令和2年までの10年間火災損害額のグラフ
損害額の10年間の推移
【火災全体の損害額は横ばい】
火災全体は1千億円代から900億円前後になりましたが、令和2年は再び1千億円を超えました。
【放火の損害額は減少傾向】
放火は80億円前後から40億円弱と約半数になり、放火の損害額は減少傾向と言えそうです。
【電気火災の損害額は減少傾向ではない】
電気火災は平成23年に150億円を超えましたが、その後は100億円前後で推移していました。令和元年に200億円を超え、令和2年は130億円と減少しましたが、電気火災の損害額は減少傾向ではありません。
【首里城火災の原因が電気の場合】
首里城の全焼火災は残念ながら原因の特定に至りませんでしたが、もし仮にテレビなどで指摘のとおり電気が原因で、その原因を特定することが出来たとしたら、電気火災の件数の増加は1件ですが、損害額の増加は53億円になります。
つまり、電気火災は全焼など焼損程度が大きいほど原因の特定が難しくなりますが、もしその原因を特定することが出来ると、増加する件数は1件ですが、損害額の増加は多額になります。
【調査技術の進歩で電気火災の損害額が増加?】
電気機器から発生した火災は製品の構造が分からないと原因の特定は難しく、メーカーの担当者の協力を得て調査しますが、「我が社の製品が原因です」とは立場上言わないため、調査する側に電気の知識や解明する技術が必要となります。
火災原因調査シリーズ(51)は電気スタンドの本体が突然燃え出した火災で、製品リコールにつながった事例です。調査にレントゲン写真を使用するなどして、トランジスタの不良が原因であることを解明しました。
以前は解明出来なかった電気火災を調査技術の進歩により、原因を解明できるようになったため、電気火災の損害額が増加している可能性もあると思われます。
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