調査技術の進歩で電気火災の損害額が増加?
電気機器の損害額が大幅増加
【火災全体の損害額は減少傾向】
火災全体は1千億円代から900億円前後になり、火災全体の損害額は減少傾向と言えそうです。
火災予防対策・老朽化建物の建替え・安全装置の普及などにより、火災全体の件数や損害額は減少傾向にあると考えられます。
【放火の損害額は減少傾向】
放火は80億円前後から60億円前後になり、放火の損害額は減少傾向と言えそうです。
【電気火災の損害額は大幅増加】
電気火災は100億円前後で推移していましたが、令和元年に200億円を超え、電気火災の損害額は増加傾向と言えそうです。
電気火災の中でも電気機器は10年前12.4億円でしたが、令和元年は55.7億円と10年前の4倍以上になり、電気機器の損害額が大幅に増加しています。
【首里城火災の原因が電気の場合】
首里城の全焼火災は残念ながら原因の特定に至りませんでしたが、もし仮にテレビなどで指摘のとおり電気が原因で、その原因を特定することが出来たとしたら、電気火災の件数が1件増加し、1,634件となり、損害額は200億円から53億円増加して電気火災の損害額は253億円となります。
つまり、電気火災は全焼など焼損程度が大きいほど原因の特定が難しくなりますが、もしその原因を特定することが出来ると、増加する件数は1件ですが、損害額の増加は多額になります。
【調査技術の進歩で電気火災の損害額が増加?】
電気機器から発生した火災は製品の構造が分からないと原因の特定は難しく、メーカーの担当者の協力を得て調査しますが、「我が社の製品が原因です」とは立場上言わないため、調査する側に電気の知識や解明する技術が必要となります。
火災原因調査シリーズ(51)は電気スタンドの本体が突然燃え出した火災で、製品リコールにつながった事例です。調査にレントゲン写真を使用するなどして、トランジスタの不良が原因であることを解明しました。
以前は解明出来なかった電気火災を調査技術の進歩により、原因を解明できるようになったため、電気火災の損害額が増加している可能性もあると思われます。
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