火災原因が異なっても火災が発生する経過は共通している
建物火災と車両火災の経過
高圧電線から電柱の変圧器で低圧に変圧し、積算電力計・ブレーカー・コンセントを経由して電気機器まで、電気は一連の流れです。しかし火災原因は、火災が発生した場所により別のものとして統計上集計されます。
高圧電線・低圧電線・屋内配線・電気製品のコードから火災になれば「電灯電話等の配線」、変圧器から火災になれば「電気装置」、積算電力計・分電盤・ブレーカー・コンセント・プラグから火災になれば「配線器具」、電気機器から火災になれば「電気機器」が出火原因になります。
統計上は「電気火災」という分類がなく、火災が発生した部分により違う原因として集計されるため、電気火災が出火原因の上位にはなりません。しかし、電気により発生する火災は実は多いのです。
私たちの生活にとって電気は必要不可欠であり、出火件数・損害額ともに増加傾向にあることを考えると、電気火災がどのように発生するのかを知り、電気火災の対策を考える必要があると思います。
電気により発生する火災は火災原因(発生場所)が異なっても、火災が発生する経過(火災になった要因)は同じ項目で分類されている場合が多いので、発生経過に注目します。
建物火災の発生経過はほぼ共通している
建物火災の原因別経過の中で「電気機器・配線器具・電灯電話等の配線・電気装置」の全ての電気火災の経過で【短絡】が共通しています。
「電気機器・配線器具」の経過で【スパーク】が共通しています。
「電気機器・電気装置」の経過で【絶縁劣化】が共通しています。
「配線器具・電灯電話等の配線」の経過で【金属の接触部が過熱】が共通しています。
共通でない経過は「電灯電話等の配線」の【半断線】と「電気装置」の【過多の電流を流す】です。
車両火災の発生経過は建物火災と共通が多い
車両火災の原因は「交通機関内配線」と「電気機器」の2種類のみですが、「短絡」と「スパーク」が共通しています。
「短絡」と「スパーク」は建物火災の原因別経過でも共通している経過です。
従って、「短絡」の経過により「電気機器・配線器具・電灯電話等の配線・電気装置・交通機関内配線・車両の電気機器」の火災が発生しています。
「スパーク」の経過により「電気機器・配線器具・交通機関内配線・車両の電気機器」の火災が発生しています。
前の記事へ
« 火災件数と損害額の10年間のグラフ次の記事へ
電気火災の発生経過のグラフ »