短絡による火災発生状況
短絡はプラスとマイナスが接触して発生
ONでもOFFでも発生
釘を打って壁の中の電線に傷をつけると、電線の中の2本の導体(プラス側とマイナス側の電気が流れる銅線)が直接に接触し、多量の電流が流れることがあります。これを短絡といい、流れた電流の二乗に比例したジュール熱が発生し、その熱で絶縁被覆などが燃え始め火災が発生します。
接触した電線に電圧が掛かっていれば短絡は発生するので、使用する機器のスイッチはONでもOFFでも発生します。
光沢がある電気痕が出来る
短絡による熱で電線が溶けて電気痕が出来ます。綺麗な空気の中で徐々に出来るため、内部に不純物や気泡を含まない表面に光沢がある電気痕となり、出火に関係のある一次痕と呼ばれています。
デコボコした電気痕は二次痕
短絡による電流でブレーカーが作動するまで電圧がかかっているので、火災の熱により絶縁被覆が溶けると、新たに短絡が発生して電気痕が出来ることがあります。
後から発生した電気痕は火災の煙の中で急速に出来るため、煙などの不純物を含み表面がデコボコした電気痕になり、出火に関係のない二次痕と呼ばれています。
一番遠い電気痕が火災発生場所
短絡箇所より末端側の電線は短絡により電圧が無くなるため、絶縁被覆が溶けても電流が流れず電気痕は出来ません。従って複数の電気痕があれば、出火に関係のある最初の短絡個所は電源から一番遠い場所に有る電気痕です。
電気以外の火災でも、火災の熱で電線の絶縁被服が溶ければ、短絡して電気痕(二次痕)が出来ることがあります。
火災熱により発生した電気痕(二次痕)
電気痕を写真撮影し、拡大してみると二次痕は表面がデコボコしている事が確認できます。一次痕であればつるつるしています。
レントゲン撮影すると、電気痕の内部が透けて見え、空洞となっており、二次痕であることが分かります。
短絡の防止策
壁や天井に釘を打つ時には電線の位置をよく確かめる。電線を摺らしたり挟んだりしないように気を付ける。など、電線を傷つけないようにすることにより、短絡を防ぐことが出来ます。
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