電気火災は件数も損害額も増加!
電気火災は件数も損害額も増加傾向
【火災全体の件数は減少傾向、電気火災は増加傾向】
火災全体は10年前の5万件付近から4万件弱になり約20%減少しています。これに対し、電気火災は10年前に4,625件でしたが、令和元年は5,606件と1,000件近く増え20%以上増加しています。
【火災全体の損害額は減少傾向、電気火災は増加傾向】
火災全体の損害額は1千億円代から900億円前後になり、約10%減少しています。これに対し、電気火災の損害額は10年前に104億円でしたが、令和元年は200億円を超え、2倍近くに増加しています。
火災全体の件数も損害額も減少傾向なのは、老朽建物の建替により建物が火災に強くなり、機器の安全装置の普及により火災が起こりにくくなり、放火対策により放火が減少しているからと考えられます。
建物が火災に強くなり、機器の安全装置が普及しているにもかかわらず、電気火災の件数や損害額が増加傾向にあるのは、電気設備の需要がそれだけ大きく、電気設備の増加が著しいからと考えられます。
【統計上「電気火災」という分類がない】
火災全体の件数も損害額も減少傾向の中で、電気火災は件数も損害額も増加傾向にあります。しかし、増加傾向であることを知らない人が多いと思います。
電気設備は単相3線式と三相3線式の違いや100Vと200Vの違いはあっても一連の流れは同じで、どこでも火災が発生する可能性があり、火災が発生した場所により「電気機器・電灯電話の配線・配線器具・電気装置・交通機関内配線」が原因として集計されます。
電気により発生した火災でも「電気火災」として集計されることはなく、発生した場所によって別の原因として集計されるため、火災原因の上位にはならず、増加傾向であることが分かりにくくなっています。
前の記事へ
« 調査技術の進歩で電気火災の損害額が増加?次の記事へ
電気火災の発生要因と統計上の分類 »